オーム真理教が日本のヨガ業界に残した傷跡

薄寒い夜明けのガンジス河

以下の文章は、今から18年前の2005年当時、私のヨガブログに投稿していた記事を添付したものです。

ヴァイクンタヨガ沖縄を沖縄に設立した年であり、そのヨガスクールをオープンして半年ほど経った日のブログ記事です。

当時のヨガを取り巻く日本の環境が理解できるかと思います。

 

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オーム真理教が日本のヨガ業界に残した傷跡

 

2005年現在、米国でヨガは大ブレイクしており、ヨガ人口:1500万人/市場規模270億ドルと巨大なヨガ市場が出来ています。

一方、2004年度の日本の推定ヨガ人口は23万人/市場規模138.5億円と米国の1.5%程にヨガの留まっており、米国と比べ、ヨガの普及は大幅に遅れています(日本の37%ほどの人口しか持たない韓国でさえヨガ人口は200万人を超えています。)

私の考える、その最大の原因の一つに、ヨガを悪用した10年程前のオーム真理教の事件が考えられます。1995年に起こった事件後、順調に伸びていたヨガ人口は急激に減少、それ以降、日本のヨガ業界は大打撃を受けました。

今から5年後の2010年にはヨガ人口100万人を越えると予想されており、今後の日本のヨガ市場は急拡大が見込まれているものの

 

事件から10年あまり経過した現在でも、オーム真理教の悪影響は日本社会に十分残っており、それを懸念してか、日本のテレビ、マスコミ、雑誌などのヨガ報道では、どの様な形であれ『オーム』という言葉はタブー視されカットされているのが現状です。

また、将来的な市場価値の高まりを期待し。ヨガをフィットネス&ビジネスとして取り入れて始めた大手スポーツ・ジムの戦略からも、誤解を招きやすい『オーム』という言葉は完全に排除されています。

現在のマスコミのヨガにまつわる報道、そしてヨガ業界の中でも「オーム」という単語自体が、腫れ物に触る様にあつかわれている様は異様にさえ感じさせられます。

 

私のヨガスクールでは、ヨガレッスン開始前と終了後にオームとマントラを唱えていたが為に、始めて体験に来られた生徒さんが、当ヨガスクールと『オーム真理教』との関係を誤解して来なくなるという様な自体も発生しています。

そのような誤解を防ぐため、ヨガクラス内ではオームマントラを唱えることをしばらく控えようとも思いましたが、

オーム真理教団とは全く関係の無い私としては、そのコトについてとても不本意に感じており「これはきちんと説明したほうが良いのでは」と思いこの文を書いています。

私を含め、今、まじめにヨガを日本の方にお伝えしようと思っている先生方は、多かれ少なかれこの問題にはうんざりしているハズだと思われます。

 

 
一端ここでヨガの本場インドに目を向けてみましょう。

 

現在インドには様々な種類のヨガがあります。それらすべての練習施設では一様に、練習の開始、終了時にマントラ(オーム音など)をクラス全員で必ず唱えています。

オームという言葉にアレルギー反応のないアメリカやヨーロッパでもインドのヨガの伝統形式を重んじて皆でマントラを唱えるスタジオが多いようです。

それらのヨガスタジオでマントラは「散乱した意識を統一させる目的」で使用されており、それは集中力を欠いた状態、もしくは気の緩みから起こる、練習中の事故防止に役立っているようです。5000年以上のヨガの歴史の中で培われてきた効果的で伝統的な作法形式といえるでしょう。

 

 

「オーム」(オームという音)とはいったい何なのでしょう?

 

オームは「A」「U」「M」と3つの音から構成されており、「A」が始まりの音、「U」が持続の音、そして「M」が終わりの音を表しており、それらの音はこの宇宙全体に遍在(どこにでも在る)しており、「この大宇宙そのものである」といわれています。

ヨガの教典、ヴェーダの奥義書であるウパニシャッドの哲学では、オーム音=宇宙(梵)と自己の内にある内我(我)は同じであるという根本思想「梵我一如」を説いています。

その教義を受け、古来より現在に至るまで、インド古典音楽家の間では「ナーダブラフマー」(音は神なり)という思想を、各自の音楽哲学の頑固たる支柱として持たれているようです。

宇宙の波動である音を感じ取り、自身を媒体として音楽として紡ぎ出しているということなんです。

 

 

「宇宙が音である」だなんて・・  ロマンティックですよね。

 

 

 

 当時、「オーム真理教団」は、その「オーム」(オームという言葉)を教団のシンボルとして使用し、ヒンドゥー教、仏教、キリスト教、その他世界の土着宗教などを混ぜ合わせたモノに終末思想のフレイバーを効かせて、まったくでたらめな思想形態を作り上げました。

その後、皆さん良く御存じの様に彼らは、地獄への道を歩んで行ったのです。そして未だに、その後遺症は日本全体に根深く残っていますよね。

 

 

 

 ここで今、改めて個人的に「教祖麻原」という人物について考えてみると・・

 

当時、あれだけの教団員を集めた実績からみて、彼はカリスマ性も非常に高く、なにかしらの能力を持たれた人物であったのではないでしょうか?

 しかし、彼の最大のウイークポイントは『世の中を恨んでいたこと』なのではないか? と、彼の人生の生い立ちを調べた結果から、私は推測しています。

きっと世の中に仕返しをしたかったのでしょう。

「怒り」のエネルギーを「愛」に返還できなくて、そのまま変な方向にいっちゃったのではないかと思っています。

 

 

やっぱ、愛だろ? 愛。 

 

 

 今回、誤解を防ぐため、(正直、細かく説明するのがめんどくさいのもあり)私のヨガクラス内ではオームマントラを唱えることをしばらく控えようとも思っていましたが、

オームという言葉について深掘れば深掘る程に、この音の持つ底知れない深さを知り、『ヨガを皆さんに正しくお伝えしていく上において、簡単には省略できる物では無いのでは』とあらためて考え直させられました。しかしながら、世間の理解にはもう少し時間が必要なんでしょう。 

今から5年程経過すれば。日本のヨガを取り巻く周囲の状況も少しは変わるでしょう。しかし、だからこそ今、私は勇気を持って、真実の姿を伝えていければと感じています。

 

 

私、個人的にオームマントラは、日本の食事の作法「いただきます」「ごちそうさま」みたいな感じの感覚で行っています。 礼に始まり、礼に終わる。みたいな感じでね。

 

そして、今日も世界中で行われているヨガの練習風景はオームに始まり、オームに終わっていくのです。

 

 

Hari OM

1/sep/2005
ヴァイクンタヨガ沖縄
坂東イッキ

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画像は、いつぞやの、薄寒い夜明けのガンジス河。インドリシケシの常宿のテラスより撮影

 

 

関連記事:麻原はなぜ、オーム事件を起こしたのか?

 

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ヴァイクンタヨガ沖縄は沖縄県那覇市・国際通り沿いにて、18年の永きにわたり人々から愛されている会員制の老舗ヨガスクールです(ゆいレール県庁前駅より徒歩5分)

ヨギである坂東イッキをはじめとする、ヨガを愛して止まない練習熱心で経験豊富なインストラクター陣が、老若男女、初心者から上級者まで、個々のニーズに合わせた多彩なプログラムを用いて、どなたにもわかり易く上質なヨガの技術をお伝えさせて頂いております。

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